『暗号数字』は「現代」に発表したもの。これをつくるために、かなりの日数を要した。作者としては、これも好きな作品の一つである。これを長編に書いて、謎を次へのこしてゆくようにすると、一層おもしろいだろうと思う。
この小説につかってある「虫喰い算」について、僕は相当趣味をもっていて、目下毎月「モダン日本」のカラー・セクションに、その宝玉のような問題をちびりちびりと出している。たいへん読者からの反響があって、雑誌が出ると、その問題を謄写版に刷り、同僚たちにくばって、早く正しく解く競争をやっているという投書があったりして、はなはだ愉快である。
『人造人間事件』は、「オール讀物」に発表したものである。こんなことも実際やろうとおもえば実現できることであるから、識者は注意を要する。
『空気男』は「モダン日本」に十ヶ月連載した科学小説で、総枚数わずか十枚あまり。一ヶ月の分量がたった一枚ぐらいというミニチュア連載小説である。それだけのものである。
『地球を狙う者』は「日の出」に発表したもの。大衆雑誌が、近来こうした科学小説を註文してくれるようになったことは、たいへん悦ばしいことであり、そしてまた一大進歩というべきである。春は遠からず。但しこの小説も、長編として行きたい構想のものであるから、この紙数では物足りない。
『新学期行進曲』と『電気玉手箱』と『新聞社見学』と『文化放送演芸――電気』とは、ともに放送の台本である。そしていずれも昨年JOAKから全国中継で放送されたものである。
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