おい、戦利品だ

「おい、戦利品だ」私は、帆村の脇腹をつついて置いてから例の男の上衣から失敬したものを、卓子の下にソッと取り出した。
「なんだか、薬壜のようだネ」万事を了解したらしい様子の帆村が、低声で云った。
「レッテルが貼ってある。ボラギノール」と私は辛うじて、薬の名を読んだ。
「ボラギノールって、痔の薬じゃないか」
 帆村は、謎々の新題にぶつかったような顔付をして、一寸首を曲げた。
 そこへマリ子がバタバタ階段をあがってくる気配がしたので、私は帆村に、あとを聞いてみる余裕もなく、その薬壜をまた元のポケットに収いこんだ。

税理士 尼崎 触らぬ神に祟りなし的Blog-中国家具Blog

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