眇目の男はまた言った。
「足利兄弟のたましいに天狗を宿らせて、日本の天下を二つに分けて争わせる。が、まだそればかりでは我々の務めは果たされぬ。その足利の味方の間にも更に内訌を起こさせて、味方同士を啖い合わせる。その手段として、われらは先ずお身の父の師直を呪うた。高師直は呪わるべき人じゃ。彼が好色の餓鬼となって、公卿殿上人の息女や女房をほしいままに掠め奪って、おのが妄婦として戯れ狂うのみか、果ては塩冶の妻に懸想して、その夫をほろぼしても、おのれの慾を遂げようと企つる。それもみな我々が悪魔を駆って、かれの魂に啖い入らせたのじゃ。お身たちがいかに救おうと燥っても狂うても、及ばぬことじゃ。お身の兄師冬、彼は師直ほどの無道人に生まれ付いたのではないが、これも呪われたる禍いは逃がれぬ。千葉 田舎暮らし 不動産 故郷へ錦を飾る