どうぞ、貴女が明けて――お見せ下さい。

(どうぞ、貴女が明けて――お見せ下さい。)
 さし向った、その膝に近づきました。
(お菓子でしょうか、よく合っておりますこと。)
 私へ、斜めに、瓜を重いように、しなやかに取って、据えて、二つに分けると、魚が一尾、きらりと光り、チンチンチンと鱗が鳴ると斉しく、ひらりと池の水へ落ちました。
 あ、あ、あ、あの池の向うの、大な松の幹を、結綿の娘と、折重って、絣の単衣の少年が這っている。こっちで、ひしと女に寄ろうとする、私の膝が石のようにしびれたと思うと、対向で松の幹を、少年がずるずると辷って落ちた。
 落ちると同時に、その向うの縁に、旅の男が、円髷の麗人と向合っているのが見える。
 そこには、瓜が二つに割れて、ここの松の空なる枝には、緋鹿子の輪が掛りました。……御堂も、池も、ぐるぐると廻ったんです。
 見る見る野の末に黒雲がかかると、黒髪の影の池の中で、一つ、かたかたと鳴くに連れて、あたりの蛙の一斉に、声を合わせるのが、

松の根本に苺が見える…………

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