遣直して肝を噛んだ

 遣直して肝を噛んだ。――(この※った目が、袖姿見の裡のこの※った目が、瞬いたと思う、その瞬間を射るんです。)同じようにして、うしろ向きに凝視めていれば、瞬くと思う感じがその銅像の場合にも顕われる。魔の睫毛一毫の秒がきっとある。そこを射よ、きっと命中る! 私も世界を廻るうちに、魔の睫毛一毫の秒に、拙な基督の像の目を三度射た、(ほほほ、)と笑って、(腹切、浅野、内蔵之助――仇討は……おお可厭だけれど、復讐は大好き――しっかりその銅像の目をお打ちなさいよ。打つ礫は過ってその身に返る事はあっても、弾丸は仕損じてもあなたを損いはしません。助太刀の志です。)――上着を掛けながら、胸を寄せて、鳴をしてくれました。トタンに電燈を消したんです。(魔の睫毛一毫の秒でしたわね、)浪を行く魚、中空を飛ぶ鳥に、なごりを惜むものではありません――流星は宇宙に留っても、人の目に触るるのはただ一度ですもの、と云って、……別れました。
 別れました。その姉さんには別れた、が、きみとは別れまいね。」
 と云った、袖姿見は男の胸に、拳銃は女の肩に掛ったのである。
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