こう思った戸山少年は、手をあげて叫んだ。
「とじよ、ゴマ!」
その瞬間、音もなく、壁はまたもとのようにぴたりととじた。そしてその小さな部屋はたちまち、矢のように下におりはじめた。
エレベーターだ。この部屋はそのまま、エレベーターになっていたのだ。そしてさっき話しかけたのは、このエレベーターだったのだ。
何十メートル、いや何百メートルくだったのだろう。いつのまにか、建物の下の丘の中には、こんな深い穴が掘られてあったのだ。
五六分もすぎたころだろうか。エレベーターはしずかにとまった。
「はい、着きました」
こんどは何も合言葉をいわなくても、目の前の壁はしずかにひらいた。そして五人の目の前にはせまい廊下がつづいていた。