わたしたちはみんな、『ハムレット』の中のポローニアスよろしく

日がたつにつれて、ジナイーダは、いよいよますます奇妙な、えたいの知れない娘になっていった

ある日、わたしが彼女の部屋へ入って行くと、彼女は籐椅子にかけて、頭をぎゅっと、テーブルのとがった縁に押しつけていた。はっと彼女は身を起したが……見れば顔じゅうべったり、涙にぬれていた。 「まあ、あなただったの?」と、彼女は薄情な薄笑いを浮べて言った。――「こっちへいらっしゃい」  わたしがそばへ行くと、彼女は片手をわたしの頭にのせて、いきなり髪の毛をつかむと、ぎりぎり捻じ回し始めた。 「痛い……」と、やがてわたしは音をあげた。 「おや! 痛いって! じゃ、わたしは痛くないの? 痛くないって言うの?」と、彼女は鸚鵡返しに言った。 「あら!」彼女は、わたしの頭から、ほんの一ふさ、髪の毛をむしり取ったのに気がつくと、いきなり大声をあげた。――「大変なことをしてしまったわ! 許してね、ヴォルデマールさん!」  彼女は、むしり取った髪の毛を丁寧にそろえると、自分の指に巻きつけて、小っちゃな輪に編んだ。

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